名前:衞藤 秀峰
役職:アール株式会社 代表取締役社長
目次
スタッフの寿退社をきっかけに、自身でバックオフィス業務を行った経験から、ITを活用した業務改善の可能性を実感
経営者としての私の業務内容は多岐にわたります。事業経営のことはもちろん、経理などのバックオフィス業務も行っています。
以前は専任の経理・総務担当者がいましたが、その社員の寿退社をきっかけに、人事、経理、総務から、法務、財務までの業務全般を自らで手がけることになりました。
ただこれらの業務を今までのやり方ですべて一人で行うとなると、結構大変な仕事量だなと感じていて、そうした業務をITを活用して効率よく進めることができないかな?と、日々試行錯誤を重ねてきました。
クラウドサービスを利用したら、20日かかっていた業務が5日で済むようになった
そこで、まずインターネット上のクラウドサービスを活用し、販売管理や請求業務などを効率化させてみました。その結果、それまで常勤していた担当者が20日間かかっていた仕事を、たった5日間で終えることができるようになったんです。
裏を返すと、こうしたサービスを活用すれば、企業の経理担当者は経理の仕事に5日間充てるだけで、その他の日数は別の業務を行うことができるということになります。これは、弊社にとっても非常に有益なことだと思いました。
こうした経験から、私自身も限られた時間の中で、少しでも業務を効率化しようと考えるようになりました。それが私たちの本業であるITを活用して実現できるのであれば、同じような問題を抱えている中小企業様の経営課題を解決するヒントになるのではないかと思い、今はあえてそこ(業務のIT化・DX)に積極的に取り組むようにしています。
「アイデアを出し、問題の解決策を見つけていく」というプロセスは、ホームページ制作やWebマーケティングにも共通します。改善すべき課題があり、そうした課題を解決するためにITをどう活用していくか?これらをクライアント企業と共に考え、中小企業の経営課題を解決していくのがアールの役割だと思っています。
今は時代の転換期。中小企業の経営が「ゆでガエル」になってはいけない
弊社がクラウドサービスを導入し、DX化に取り組み始めた時期は、全国的にみても徐々にクラウドサービスが浸透し始めた時期ではあったのですが、まだまだ地方では「インターネット上でこのような重要な業務を行うことは危険だ」という認識が強かったです。
例えば「契約書や請求書をデータ化する」という話をすると、たいてい「そんな危ないことはできない」というような反応がかえってくるんです。電子化することで、双方にとってのメリットも大きいのですが、地方では新しいことを取り入れることに慎重になる傾向があるので、クラウド化へのスピード感は都市圏に比べると少し速度が遅いという気はします。
ビジネスの現場では『ゆでガエルの法則』という理論が使われることがあります。カエルをいきなり熱湯に入れると、熱くて飛び出してしまうけど、水から火にかけ、じわじわと水温をあげていけば、周りの温度が上がったことに気づかずに、カエルは死んでしまうという話です。
これは「慣れた環境下にずっと浸っていると、周囲の変化に気づかずに、危険だと察知したときにはすでに手遅れの状態になっている」ということの例えなんですが、この「ゆでガエル」のような状況に陥る可能性は誰にでも、どこの会社でも今は起こり得ると思うんです。
インターネットをきっかけに、私たちを取り巻くビジネス環境は緩やかに移り変わっているのですが、そこに果たしてどれくらいの人が反応できているでしょうか。どうしても「緩やかな変化(目に見えづらい変化)」は気がつきにくく、問題を後回しにしてしまいがちです。
因みに、現代の情報量は西暦2000年と比較すると約6000倍になっていると言われています。20年ちょっとでこれだけの情報が爆発的に増幅しているんです。こうした情報爆発の中で、事業に取り入れるべき情報を取捨選択すること自体、本当に難しい時代になってきています。
このような時代の転換期だからこそ「これからのインターネット社会に対応したいんだけど、どうしたらいいのだろう?」とお悩みの中小企業様へ、サービス選定をふくめ、私たちがしっかりとサポートできたらなと考えています。
時代の変化とともに、企業も変わらなければならない
企業はいま、「働き方改革」とか「生産性向上」という変化を求められています。これは、なぜでしょうか?
私たちはインターネットによって、たくさんのモノ・コトを手に入れました。情報も得られるし、いろんなコミュニティにも参加できる。でも、その反面、インターネットって非人道的だと思っている人もまだまだ多いです。
これは企業も同じで、企業の在り方自体も両極に偏ってきていて、旧来のように「長時間労働で成果を出す」という考え方をお持ちの経営者もいれば、「労働時間を短くして生産性を上げ、いろんな時間の使い方をした方がいい」という考えの経営者もいらっしゃいます。
こういう意味では、働き方を変えないといけないですよね。そのためにはインターネットの活用は欠かせないと思います。
インターネットの普及とともに、消費者の購買方法や、情報取得方法は劇的に変わってきました。以前は、商品に対する圧倒的な知識を持ったセールスマンがいましたが、今ではインターネット検索をすれば、誰でも簡単に情報が得られる時代です。
企業としては、インターネットを活用して売り方を変えていかなければ追いつかない、という時代に差し掛かってきていると思います。
もしも「今日から変わる」とわかっていたとしたら、危機意識を持ちやすいですが、じわじわと緩やかに変化していると、どうしても気づきにくいんですよね。
ホームページとの出会いからこれまで
今から約24年前、当時まだ会社員だった私は、勤めていた会社のホームページ制作を任されることになりました。
その時はまだ、今のようにインターネットが発展していなくて、県内に「ホームページ制作会社」すら存在しませんでした。ようやく、人づてに制作できる方と出会い、ホームページを作る具体的な流れを知る中で、「これからは地方都市であっても、あらゆる企業がホームページを持つ時代になる」ということを直感しました。
そんな想いで立ち上げたのが、このアールです。
ホームページを作るコトは『目的』ではなく『手段』。理想を追求する中で行き着いた【ホームページを活用したマーケティング】
会社立ち上げ当初は、ホームページ制作会社として、さまざまな企業のホームページ制作のみを手がけていたんですが、「ホームページとは、作ること自体が『目的』ではなく、企業が発展するための『手段』のひとつである」ということは、常に頭の中にありました。
ところが、当時の仕事内容はホームページを「作って売る」の繰り返しで、その考えとはかけ離れていたんです。
現実と理想のギャップのなかで葛藤していましたが、どこかでシフトチェンジしないと、ずっと理想を現実にすることはできないという思いが強くなり、スタッフとじっくり話し合って、仕事量の調整などを行い、これからの方向性を定めることにしました。
(事業変革ということですね。「ここから先の未来を見ながらしっかりやっていこう」と。こうした取り組みがきっかけとなり、理想であったかたちへ、一歩踏み出すことができたのではないかと思います。)
ホームページをただ作って売るだけではなく、ホームページ本来の目的である、「企業の売上を伸ばすためにはどうしたらいいか?」を考えた中でたどり着いたのが、ホームページを中心としたWebマーケティングでした。
ホームページも経営課題の解決方法の1つ。ホームページのコンサルティングをきっかけに、クライアント企業の事業変革をサポートする
現在、Webマーケティングのコンサルティング契約をいただいているクライアント企業様とは、当初想定していたよりも、すごく深いお付き合いをさせていただいています。
アールでは、現状分析からマーケティング施策の運用まで1年間をかけてじっくりコンサルティングを行うのですが、ありがたいことに、1年経っても契約を辞めるクライアント様はほとんどいないんです。
「ただホームページを作って終わりにするのではなく、しっかり時間をかけWebサイトを一緒に育てていきましょう」というのが私たちの基本スタンスですので、ホームページ制作をきっかけに、クライアント企業の事業自体を大きく変革するきっかけをつくる関係になってきていると自負しています。
クライアントとの関係はパートナーでありチーム
日本のビジネスでは、どうしても「売り手」と「買い手」の関係性になってしまったとたん、「買い手」に優位性が出てしまいます。しかし、私たちはクライアント企業様との関係を、経営課題を一緒に解決するパートナーとして、できないことをお互いが補うというカタチにしていきたいと考えています。
「サービス」という言葉は、「値引きする」という意味に捉えられがちですが、本来の意味は「私たちが持っている技術や専門性を用いて、相手がそれ以上もしくは現状維持をできるように提供する」ということだと思います。
そこがサービスの本質なので、決して「お付き合いで」ということではなく、本質的な部分を提供していく必要があると感じています。
加えて、コミュニケーションをきちんと取れることも理想ですね。 やっぱりチームとして、フィーリングを大切にしたいですね。
経営者の高関与とチーム内のコミュニケーションが、経営課題の解決を大きく左右する
また、Webマーケティングを成功させるための決定的な要素は、経営者ご自身が率先してホームページ運営に関わってくださることだと思います。
私たちは、マーケティング活動を行う前に、事前のヒアリングにたっぷりと時間をかけるようにしています。約2カ月をかけ、事業やお互いを知るためにコミュニケーションを重ね、事業のビジョンやミッションを共有していくんです。
その際、Webのご担当者だけでなく、経営者ご本人が前向きに取り組んでいる企業様は、経営課題の解決に大きな成果が出せているように感じます。
誰でも最初の一歩を踏み出すのには勇気がいることだと思うんですよ。でも、時代の流れを読みながら変化に対応していく勇気を持たないと、いつまでも前進できません。
事業の目的、経営理念、ターゲット、これからの行末を真剣に考え、経営者含めたチームが一体となって、共に成長しようと考えることが、経営課題の解決に大きく関わっていると思います。
企業活動の『目的』を達成するためには、インターネットを飛び越えリアルなマーケティング活動との連携が必要
それぞれの企業が目的にしていることは「売上を伸ばすこと」だと思いますが、インターネットは、この目的を達成するためにある数ある『手段』のうちのひとつです。
だとすると、Webだけでなく、実社会でのリアルなマーケティング活動とも連携を行わなければ、本当の意味での目的達成はできないと考えてます。
いくら、Web上でデザインに優れたホームページを展開しても「実店舗を訪問してみたらイメージと全然違った」ということでは、整合性がとれていませんよね。「ネット社会と実社会は同じ」と捉えていただくことで、会社として目指すべき姿が見えてくるはずです。
たかがホームページとはいえ実店舗と同じ。ホームページはお店の顔になるわけです。それを作るためには、まず会社を俯瞰的に見直し、「経営理念(ミッション)」など事業の目的や方向性を定めることからはじめ、実社会でのリアルなマーケティング活動とも連携していくべきだと思います。
私たちは、インターネットという『手段』だけを提案するのではなく、企業活動の『目的』を達成するための施策提案を行っていきたいと考えています。
今後について
インターネットとスマートフォンの普及により、情報化社会が急速に進み、パラダイムシフトが起こりました。幸か不幸か私たちは今この真っ只中にいます。
このことは、社会はもちろん、個人にとっても今後大きな影響を与えていくと思います。明治維新のような革新的な時代だなと感じますね。
『安心』と『自由』のバランス
ITの進化よって、情報がものすごく変わっているので、それと同時に企業とスタッフの関係性や働き方のスタイルも大きく変わりつつあります。
今まで「企業で働く」ということは、安定した給与をもらうという安心感の元で成り立っていました。だから働きづめの毎日でも、『安心』は担保できていたのではないかと思うんです。
ただ、ここには『自由』が欠如していました。でも今は、この『自由』も必要だという意見の人たちが入り混じり、両極の考え方になっています。このように2つの文化が入り混じるのは進化の過程なんだと思います。
ところが、長時間労働が当たり前の旧態依然とした働き方をずっとしてきた人たちにとっては、進化の過程に順応することは難しいことなのかもしれません。でもそれはある意味仕方のないことですし、そこを否定するのではなく、それはそれだと受け入れることも必要ですね。
働き方というのは、技術や進化と共に、私たちに大きなインパクトを与えているので、これを「やっかいだな」と感じるのか、「チャンスだ」と思うのかは、経営者次第ではないでしょうか。私はチャンスだと思っているのでここに順応していきたいなと思っています。
とはいえ、会社というのはあまり自由度が高すぎても不安がついてまわるものです。だからこそ、『安心』と『自由』、この2つのバランスが大事ですよね。この2つをバランスよく取り入れて、いい会社にしたいという思いが強いです。
もっと自分のための自由な時間を手に入れながら、やりがいがあって、なおかつ給与もしっかりもらえるという安心感。こんな生活が目の前まできてると思います。
最後に
私たちは、このWebマーケティングという事業が、絶対に世の中の役に立つものだと思っていますし、Webマーケティングが今後のローカル企業の経営や未来を照らす一翼を担うものだと信じています。
弊社が経営理念として掲げている「幸せの創造(Creating Happiness)」を、事業を通じて実現できるよう、今後とも全力で頑張り、幸せの輪を一つでも多く広げていきたいと思います。