創業して64年目の老舗企業「株式会社カワノ」様。人が快適に心地よく生活するための「住まい」においてインテリアやリフォーム、さらに耐震と、各分野のプロフェッショナルが揃い、地方の中小企業でありながら専門性の高い知識とキャリアをもつ企業です。
2019年に弊社にてWebサイトリニューアルをおこないましたが、歴史ある企業としてのあゆみのなかで、時代の変化に合わせ、Webサイト運用をつづけていらっしゃいます。
株式会社カワノ様がWebサイトを活用するに至った背景には、事業に対する展望や葛藤など、紆余曲折がありながらも、「進化していきたい」という思いがつねにあったようです。
今回は、株式会社カワノの会長である川野康雄さんと、社長の川野真司さんに、「カワノ」の企業ストーリーをはじめ、今回なぜWebサイトリニューアルに重きを置いたのか?また、今後のWebサイトの運用についてなど、たっぷりとお話を伺うことができました。
株式会社 カワノ
会長:川野 康雄 様(以下:会長)
代表取締役 :川野 真司 様(以下:社長)
アール株式会社
代表取締役社長 衞藤 秀峰(以下:衞藤)
目次
創業64年のカワノの歴史と事業について
弊社でのWebサイトリニューアルにたどり着くまでの背景には、企業としての長い歴史で培った、熱い想いがありました。
地域ナンバーワンではなく、「オンリーワン」に
衞藤:カワノさんの創業時からの歩みについて教えてください。
会長:スタートはいわゆる「町の電気屋」でした。昭和30年代、ご家庭の生活の家電の販売や修理をするなかで、お客様の生活に深く入り込む機会も多く、だんだんと家電だけでなく「キッチンを変えたいんだけど」とか、「カーテンを変えたいけどどうすればいいと思う?」などの話を受けるようになり、リフォーム事業を展開しはじめました。その流れを受けるカタチでインテリアの事業を始め、その後中古住宅のリフォーム相談も増えてきたというのもあり、不動産事業にも参入しました。
さらにリフォームを進める中で、耐震性に不安を感じることが多く、「阪神淡路大震災」を機に家の耐震について本格的に取り組むため、木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合)に加盟をしました。
衞藤:町の電気屋さんにはじまりリフォーム、耐震、インテリア、不動産と「住環境」におけるニーズをつねに取り入れてこられたんですね。
会長:お客様のご要望にこたえ続けて商いを続けてきたらこうなっていた、という感じですね(笑)。それは多分、地域のなかで「ナンバーワン」ではなく「オンリーワン」になりたい。という想いがつねにあったからだと思います。いざというときに、お客さんの頼れる存在であり続けたいというか。
衞藤:そのオンリーワンでいるために、進化を続けてこられているのですね。そうした進化の中で、御社の強みとはどういう点だと思われていますか?
会長:電気屋というベースからはじまり、インテリアやリフォーム、さらに耐震や不動産の相談、施工までをすべてできる理由は、他社(専業店)と比較しても遜色ない力をもっているスタッフがいるという点です。もちろん各分野だけを切り取ってみても、他の専門店と比較して全く引けをとらないくらいの知識、提案力、実績があることは大きな強みだと思っています。この専門性の高さも、「オンリーワン」でいたいという根底があるからかもしれません。
親から子へ。事業継承について
衞藤:会長が3代目社長を務められ、現在息子の真司さんが4代目の社長を務められていますが、会社のターニングポイントでもある「事業継承のきっかけやタイミング」についてはどうだったのでしょうか?
会長:私自身が75歳くらいで事業継承しようと考えていたのですが、基本的にはいつ渡しても同じかなとは思っていました。結果的に2022年に引き継ぎました。
社長:2019年12月頃に、「いつぐらいを考えてる?」って聞かれて「2年後」っていう感じで、少しずつ引き継いでいった感じでした。
衞藤:じゃあ、わりと社長の希望に沿うようなタイミングだったんですね?
会長:ただ経営的には体力がある時期がいいなとは思っていました。私からも「絶対この時期まで」というのはなくて、約2年間かけて少しずつ引き継きついでもらって。最後の1年で、私はもう朝礼だけ仕切っていました。
社長:なんか急なのも、寂しいかなと思って(笑)。
衞藤:会長は、お仕事が生きがいのような方ですもんね。
会長:仕事は楽しいし、今も好きですけどね。でももう悔いなくやってきましたし。今は昔からのお客さんと会ってお茶飲んだりして(笑)。すごく気が楽になりました。
衞藤:社長は事業継承にあたって不安などはなかったですか?
社長:これがないんですよ、全く。何とかなるかな(笑)と。
会長:私も基本的にはうちの風土や伝統をしっかり守っていきながら新しいことに挑戦してくれるのであれば、それでいいな、と。私も何とかなるかなという感じですね(笑)。会社に対する方向性が間違ってなければ大丈夫だなって思っています。
衞藤:こんな言い方したら失礼かもしれませんが会長と社長、タイプは違いますよね。でも「最終的には方向性が同じ」というところがスムーズに事業継承できた理由なのかもしれませんね。
事業が進化するごとに、会社を「認知」してもらうにはどうすべきか?という課題
衞藤:事業の進化ごとに、社内で意見が割れたりとかそういったことはありましたか?
会長:ありましたよ。中古住宅のリフォームや耐震をやっていくなかで、私が「不動産」にも参入したいと考えていた時も、スタッフのみんなからは反対されました。ただ、リフォームや耐震など、うちが得意としているところを活かすためには不動産事業はやらなければと、私はかたくなに思っていたんです。スタッフのなかには、「まだ時期尚早なのでは」とか、なかには「(不動産業をすすめる人に)だまされているんじゃないんですか?」という意見も飛び交いました。
衞藤:なぜまわりは反対したのですか?
会長:もしかしたら「新しいことをしたくない」というのがあったのかもしれません。新しいことをやるのには、やっぱりパワーがいりますから。でも私は、リフォームやインテリア、耐震という武器があるからこそ、不動産もエンドユーザーの役に立つと思ったんです。結果的には世の中の流れや、お客さんからの要望もあったこともあり、不動産業にも参入しましたが、大変だったのは事業を広げるごとに、定着イメージを変えることでした。
社長:確かにうちは「住生活」におけるプロ揃いだなって自負はできるのですが、それがなかなか上手く表現できず、お客様にもそれが伝わらない。という課題があったんです。
会長:先ほどの不動産業参入の時もそうでしたし、過去にインテリアに対する需要が高いころも、「カワノは住宅のリフォームもできる」というのを、お客様に認知するのに10年くらいかかりました。まぁでも確かにずっと「インテリアカワノ」と銘打っていたなかで、「リフォームとインテリアのカワノ」となったら、当然ですがお客さんは混乱しますよね。
衞藤:事業を進化させるうえで、それを伝え、認知させるのって難しいですよね。そのあたりはどうやって伝えていったんですか?
会長:その「どうやって伝えるか」が最大の問題でした。DMとか広告とかいろいろやってみたけど、本当になかなか効果はあがらなかったです。いろいろ取り組んでみてはダメ、の繰り返しでした。
社長:今でも時々「一体、何屋さん?」って言われたりもしますし(笑)。
会長:そうそう。なので耐震でお付き合いのあるお客さんも、途中から「え、リフォームもできたんですか?」とか言われたりするんです。思わず「むしろリフォームもすごく得意です」って言いたくなる(笑)。なのでインテリアだけ、耐震だけというお客様が多く、なかなか連動しないのが課題でした。もちろん認知してもらうために「インテリアからリフォーム、耐震、建売販売など不動産まで全部できるんです」とお伝えしているのですが、なかなか認知されなかったんです。
現状のWebサイトを改善したい現場と経営者の葛藤
衞藤:事業内容を認知してもらうという点も含め、当時Webサイトに対する認識や位置づけは、どんな感じでしたか?
社長:当時はホームページが効果を生むものとか思っていなかったのが正直なところです。実際ホームページがなくても経営は成り立っていたというのもあったと思います。ちょっと荒っぽい言い方ですけど、そこまでお金をかけてつくる必要もないとも思っていました。
会長:最初はホームページはうちの会社案内でいい、ぐらいにしか思っていない時期もあったし。当時は、経営的にもお金をかけられなかったですからね。
Webサイトリニューアルに踏み切ったきっかけ
衞藤:そういったお考えから、今回Webサイトをリニューアルしたいと思ったのはなぜですか?
社長:事業と同じように時代や顧客層も変わるなかで、やっぱりホームページを見直す必要性ってあるな、って思うようになったんです。当時(リニューアル前の)Webサイトは、正直本当に会社案内というか、効果とか求められるようなものではなく、ぼく自身は満足してない部分も多々あったんです。ぼくだけでなく、スタッフも同じことを思っていたから、「ホームページ変えたほうがいいですよ!」って会長には何度も何度も言っていたんですが・・・。これがまた身内のいうことを聞いてくれなくて・・・(笑)。なかなか首を縦に振ってくれませんでした。
衞藤:そうだったんですか。しかしなぜ結果的に、会長もリニューアルに踏み切られたのでしょう?何かきっかけがあったんですか?
社長:それがある日突然、それまでかたくなに拒んでいたのに「ホームページを変えよう」って言い出して。「え?なんで?」って思いましたよ。具体的に何があったかは結局わからないんですけど。多分、自分が聞き入れやすいまわりの人からの話が入って、琴線に触れて考えが変わったのだと思います。
会長:正直そのあたりはよく覚えてないんよね…(笑)。
社長:ほら…この調子ですから。ぼくは会長に4年間くらいずっと言ってきたんですけどね(笑)。
会長:でもホームページをリニューアルしようと思ったときに考えたのは、それまで(過去)のホームページづくりの経験や反省があったから、今度は「お金と時間をかけて成果のあるものを作りたい」というのはありました。自分たちの仕事と同じで、ホームページもいいものをつくりたいんだったら、やっぱりお金はかかるものだというのは、覚悟というか、思っていました。赤字になってもいいから、お金をかけてやってみよう!と。
先日も、30年来のお付き合いがあるお客様の娘さんから連絡をいただいて。その方は不動産についてのご相談だったんですが、その時に娘さんが「カワノさんのホームページを定期的に見ていたので連絡させてもらったんです」とおっしゃってくれたんですよ。そういう声を聞いたりしていると、時代とともにやっぱりホームページはしっかりつくらないとなと。
制作会社選びの決め手は、想いや戦略をカタチしてもらえそうという「直感」!
衞藤:制作会社を選ぶとき、ある程度マーケティング要素の知識を持ったところに何社か問合せされたとお聞きしました。
社長:実はさっきの、ホームページをリニューアルしたいという話を会長に言い続けていたころ、いろいろな話を人伝いに聞いたり調べたりして、制作会社を何社かリストアップしたんですけど、そのなかにアールさんも入っていたんですよ。
会長:それで、実際に「じゃあリニューアルしよう」と社内でも話が一致した後、再度私のほうから問合せさせてもらったのがきっかけです。
衞藤:最初、会長から弊社宛にご連絡いただきましたよね。
会長:選ぶなら、うちの会社の風土や歴史、さらに経営戦略や方向性を理解してくれて、それをカタチにできる地元の会社に頼みたかったんです。で、実際に問い合わせさせてもらってアールさんと話をしたときに、もう「速攻OK」って思ったのを覚えてます。迷わなかったよね?
社長:はい、迷わずって感じで。うちのスタッフの一人も2年前からアールさんをオススメしていましたし。
衞藤:速攻(笑)。ありがとうございます。しかし、なぜ弊社を選んでくださったのでしょうか?
会長:先ほど話したように、うちの会社を理解して、それをホームページ上でカタチにしてくれそうという点と、経営に対する考え方が、うちと似ているなと思ったんです。
衞藤:数年前から名前を上げていただいてて、結果的に選んでいただいて。巡り巡って、ってかんじだったんですね。
会長:タイミングだったんでしょうね。アールさんと話して、赤字になってもリニューアルにお金をかけるべきだと。
良いものを作るためには「時間」と「お金」は必要
衞藤:弊社とのWebサイト制作では、相互理解を深めるために「制作期間が1年ぐらいかかります」というお話しをさせていただきましたが、この期間的なものはどうでしたか?やはり長かったですか?
社長:いや、そんなことなかったですよ。ぼくは極端に言ったら、うちの会社の64年の歴史で、ホームページを作るのに1年ぐらいかかってもいいんじゃないかって思いましたし。実際にじっくり時間をかけて良かったと思っています。
衞藤:ありがとうございます。しかし、企業様によっては制作を急ぐところが結構多いんです。やはり結果を早く出したいし、私たちにも求めてこられますしね。しかし時間も人も限られたリソースのなかで、ある程度じっくりと時間を設けて、お互い(事業)を知りながら制作をおこなっていくことがやはり大切なんだと、御社との制作を通しても改めて感じます。
会長:私は何度も言いますけど、最初から時間とお金をかけ、うちの会社を深く理解してもらえなければ絶対良いものはできないと思っていました。
>>>>>後編へ続く