Google検索で【Webマーケティング 施策】と検索をかけると、Webマーケティングを行うための施策が沢山出てきます。ですが、実はこういった施策一つ一つを単発的に行ったところで思うような成果(売上)には結びつきません。
それはなぜでしょう?
それは、そうした施策一つ一つがどのタイミングで行われ、ユーザーのどの関心レベルに合わせたものなのかが不明確で、全ての施策が繋がりのない状態でプランニングされてしまっているからです。
実際の営業活動では、自社製品やサービスの【認知獲得】から【成約】に至るまで、お客様のステージ(フェーズ)ごとに、お客様の関心レベルに合わせた施策・提案を皆さん日常的に行っているはず。
しかしこれがいざネットとなると、集客(アクセスを獲得する)施策にのみ意識が集中してしまい、その結果単発的な取り組みが増え、入口から出口までが線で繋がれていないといったケースがほとんどです。
これでは穴の空いたザルに水を溜めようとしているようなもの。
今回は、皆さんが日々行っている実際の営業プロセスに乗せ、Web上で展開すべきマーケティング施策について考えてみたいと思います。
私たちアール株式会社では、リアル営業とネットでのマーケティング施策が相互に絡み合い、線を面として捉えたカスタマージャーニーのもと、マーケティング活動全体の最適化を図っていくべきだと考えています。
お客様関心レベル①【認知獲得】
消費者に自社製品やサービスを知ってもらう(認知を獲得する)ためには、まずプロモーション(宣伝活動)を行わなければいけません。当たり前ですよね。
プロモーションとは
プロモーションとは、消費者に対して製品やサービスを知らせ、認知獲得を経て具体的な購買につなげるための初動の活動のことで、販売促進のための宣伝活動を指します。
リアル営業でのプロモーション活動
リアルな営業活動でいえば、下記のような施策が考えられるのではないでしょうか。
- 飛び込み営業活動
- クチコミを通して
- 人脈を通して
- 展示会やイベント
- セミナー開催
- TVCM
- ラジオCM
- 新聞広告
- 折込チラシ
- 雑誌広告
- 看板
- 街頭VISION
- ノボリ
この辺りは皆さん馴染み深いですよね。日常的に上記のような施策を組み合わせ、認知獲得へ向けた営業活動を行っているはずです。
ではこれをWebに置き換えて考えてみましょう。
Webマーケティングでのプロモーション方法、【認識獲得】時のアプローチ
Web上では以下のような施策が考えられます。
SEOやSEMによる露出(コンテンツマーケティング)
SEOとは検索エンジン最適化(けんさくエンジンさいてきか、英: Search Engine Optimization、SEO、サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)のことで、SEO対策とはYahoo!やGoogleなどの検索エンジンで狙ったキーワードを検索結果上位に表示させる対策のことをいいます。
※詳しくは、弊社(アール株式会社)のSEOに関する考え方をまとめた【SEO対策|SEOで効果を出すために最も大切な考え方】をご覧ください。
ターゲットとなるインターネットユーザーが検索を行う際に入力する(自社の製品やサービスへと結びつきそうな)キーワードを選定し、そうしたキーワードごとにSEOを意識したコンテンツを整備していき露出(マッチングの機会)を増やします。
そうして獲得したユーザー(潜在顧客)に、Webサイト上の他のコンテンツを定期的に読み進めてもらうことで、潜在顧客を見込み客へと育てます。こうした一連の活動をコンテンツマーケティングといいます。
リスティング広告(検索連動型広告)
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!の検索エンジンで検索を行った際に、検索画面の上部や下部に出てくる広告のことです。検索キーワードに連動して表示されることから「検索連動型広告」とも呼ばれています。
リスティング広告には主にGoogle AdWordsとYahoo!プロモーション広告の2種類があります。
SNS広告
SNSにも広告を掲載できます。FacebookやTwitter、Instagram他、多くのSNSのタイムライン上に広告を掲載して、認知を獲得することができます。
ディスプレイ広告
純広告、バナー広告、テキスト広告などなど、、広告の種類は沢山ありますが、ディスプレイ広告とはGoogleやYahoo!などが運営するサイト、または提携するサイトに広告掲載を行ない認知獲得から集客を行ないます。
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、コンテンツの記事と広告を自然に溶け込ませることで、閲覧者に自然な形で記事を読んでもらい、ストレスなく広告への理解を深めてもうための記事広告です。
その他、動画広告やアフィリエイト広告、メール広告など多様な広告が存在しますが、リアルな営業活動と同様、自社製品やサービスの露出により消費者との出会いの機会を増やすことが【認知獲得】段階では求められます。
お客様関心レベル②【興味・関心】
リアル社会での営業活動であれば、プロモーション活動を通した【認知】により【興味・関心】を抱いた潜在顧客は、直接の電話連絡や知人を介した紹介などをへて、御社へコンタクトをとってくるはずです。
お問合せを頂いた後、営業マンは(BtoBであれば)相手先企業へ訪問を行ない、次に【商談】へと進んでいきます。
リアル営業での【商談】からの見込み客情報の取得方法
【商談】の際は、
- 自社の製品やサービスを紹介するカタログを持参し
- 実際に製品やサービスの導入を行った他社の実績や実例を紹介
- そうした製品やサービスを導入することでのメリット・ソリューション提案を行なう
※このタイミングで、ご挨拶と同時に相手先企業との名刺交換を行います。名刺交換により企業情報(ご担当者の個人情報)を獲得し、【商談】によって先方とのコミュニケーションが生まれたことで、潜在顧客は見込み客へとステップアップします。
Webマーケティングでの【興味・関心】時のアプローチ
Webの場合、プロモーションをキッカケに流入してきたユーザーは、直接ホームページへ訪問したり、LP(ランディングページ)を経由するなどしてホームページへ訪問します。
その際、ホームページ上でもリアル営業での【商談】と同じように機能するコンテンツを用意しておきます。
- 自社の所在や働くスタッフを紹介するページ
- 実績や実例を紹介するページ
- 製品やサービスを紹介するページ
- 製品やサービスと通したソリューション提案を行うページ
リアル営業では名刺交換を経て見込み客情報を獲得しますが、Webの場合は以下各種ホワイトペーパーのダウンロードや、訪問客のIP情報を分析することで見込み客情報を獲得します。
ホワイトペーパーとは
もともとホワイトペーパーという用語は、「白書」(外交の実情を報告する文書)を意味する言葉として使用されていますが、近年は企業のセールス資料、サービス紹介資料、技術資料、事例資料など、企業の発行する資料全般をさして使われることが多い言葉です。
海外では、これらのタイプのホワイトペーパーはたいてい顧客や見込み客とのマーケティングコミュニケーションのための資料であり、調査されたデータまたはタイトルに沿った解説と関連している具体的なソリューションまたは製品を売り込むように作成されているケースが多いのが特徴です。
つまり、マーケティングの道具として、見込み客の参考になるだけでなく、作成した人もしくは後援している会社に好ましい情報を伝える手法として活用されているのが「ホワイトペーパー」です。
引用元:MARKEiTブログ ホワイトペーパーとは?より https://www.markeit.jp/blog/whitepapermarketing/
ホワイトペーパーの参考例
- 会社や製品やサービスのカタログ
- サービスの紹介資料
- 技術資料
- 事例集やお客様の声
- レポーティング資料
(その他、アイデア次第でさまざまなホワイトペーパーが考えられます)
ホワイトペーパーは潜在顧客や見込み客にとって有益な情報、このタイミングで是非手に入れたい!と思って頂けるような情報でなくてはなりません。
こうした【ホワイトペーパーのダウンロード】への誘導バナーをホームページの各コンテンツに設置し、潜在顧客としてホームページへ訪問したユーザーをダウンロードページヘと誘導。ホワイトペーパーをダウンロードする際に、メールアドレスや会社名等を入力して頂くことで、自動的に見込み客情報を取得していきます。
お客様関心レベル③【比較・検討】
初めての【商談】を行ない、製品やサービスの説明やソリューション提案を通して、【興味・関心】が深まったお客様(見込み客)は、その後「他社でも同じような商品はないのか?」や「もう少し安いサービスはあるかな?」だったり「もっと高機能な製品はないか?」など、他社の製品やサービスを徹底的に調べ上げ、御社製品やサービスの導入が本当にベストなのかと【比較・検討】を行ないます。
リアル営業での【比較・検討】時のアプローチ
実際の営業活動であれば、その後「定期的な訪問営業を繰り返す」や、中には「接待営業を行う」など、見込み客である相手先企業と定期的なコンタクトをとり、少しづつコミュニケーションを深め、自社の製品やサービスへの理解を深めてもらうための取り組みを行うはずです。
定期訪問のキッカケを作るための施策として、例えば他に、実績や実例紹介・ソリューション提案などを盛り込んだ【〇〇〇〇通信】などの自作のチラシや【〇〇新聞】などを発行したり、セミナー開催なども考えられます。
「同じ商品が同じ価格」であれば、最後はやはり「接触頻度」や「貢献度」「人柄」などが判断材料となりますよね。
Webマーケティングでの【比較・検討】時のアプローチ
Web上ではどうでしょう?ここでもリアル営業と同じように、見込み客との定期的なコミュニケーションを生み出す施策を用意しておかなければなりません。
ここでは【興味・関心】時にWebサイトからホワイトペーパーのダウンロードなどを通して獲得した見込み客情報の顧客属性やニーズなどの分析を行ない、そうした見込み客ごとに最適化させた情報提供を行う「One to Oneマーケティング」の考え方が必要です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、Webサイトのコンテンツを活用し、見込み客を引き寄せ、関係性を維持し、設定した目標へと導き、見込み客を角度の高いリードへと成長させるマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングは【認知獲得】から【アフターフォロー】に至るまで全ての段階で取り組むべき施策なのですが、この【比較・検討】段階は次のフェーズ【成約】のきっかけとなる、売上に直結する大切なフェーズですので、ここでの施策を中心に全体の設計を行うことで効率のよい取り組みが行なえます。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、FacebookやTwitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用し、(潜在顧客・見込み客・顧客・優良顧客含めた)消費者との直接的なコミュニケーションを通して、企業はじめ製品やサービスへの理解を深めてもらうことを目的としたマーケティング手法です。
SNSマーケティングについてはこちらをご確認下さい。
メールマーケティング(メルマガ)
メールマーケティングは、一時期チャットツールなどの台頭から「もうメルマガは終わった」などと囁かれていましたが、Webマーケティング(特にBtoB)においてはまだまだ取り組むべき価値のある施策です。
顧客属性を踏まえ、予め用意しておいたストーリーにもとづき、設定したスケジュールに従って見込み客へ段階的にメール配信していくステップアップメールとメール開封後の顧客行動(アクション)の解析をかけ合わせ、スコアリングを行うといったMA(マーケティングオートメーション)も近年は大変注目されています。
※MA(マーケティングオートメーション)については、また後日詳しくご説明させて頂きます。
こうしたWeb上での施策を並行させ、見込み客との定期的なコミュニケーションにより、自社の製品やサービスへの理解を深めていきます。
お客様関心レベル④【購入・成約】
【認知】を獲得して、【興味・関心】を抱いた潜在顧客にアプローチを行ない、他社製品やサービスとの【比較・検討】に勝ち残り、いよいよ【購入・成約】へと進みます。この【購入・成約】のステージは(刈り取り期)とも呼ばれます。
あとは最後のひと押し。時期を見計らって背中を押すのみですね。
リアル営業での【購入・成約】時のアプローチ
最後は時期を見計らって「キャンペーンを紹介する」や「値引き対応」などのプレミアムを付け【成約】へと導きます。
Webマーケティングでの【購入・成約】時のアプローチ
Web上でも考え方は同じです。「キャンペーン」や「値引き」といった情報をメールで配信するなどして、顧客の最終的な決定を促します。
また、最終的な判断を促すための材料としても、Webサイト上でしっかりと問題解決型のコンテンツや専門性をアピールするためのコンテンツを整備しておく必要があります。
お客様関心レベル⑤【共有】
製品やサービスは売ってしまえさえすばそこで全て終わり、ではありませんよね?売った後、その後のアフターフォローを通して顧客満足度を高めることも大切なマーケティング活動の一部です。
顧客満足度を高めることで、自社のファンとなって頂いた顧客を中心にクチコミを広げることができれば、新規営業を行わずとも新たな見込み客が生まれるはずです。
マーケティング用語に「1:5の法則」や「5:25の法則」といったものがあります。
- 「1:5の法則」・・・新規顧客獲得には既存客の5倍のコストがかかる
- 「5:25の法則」・・・顧客離れを5%改善すれば、利益が25%改善される
顧客満足度を高め、LTV(顧客生涯価値)を向上させ、一人でも多くの顧客に新たな見込み客を連れてきてもらうために力を注ぎましょう。
リアル営業でのでの【共有】時のアプローチ
【比較・検討】時と同じように、定期的な訪問や「〇〇通信」の配布、セミナー参加を呼びかけるなどが考えられます。
BtoCの場合はポイント制度を利用したポイント還元や、誕生日などの特別な日には特別優待などのイベントも企画しDM発送など行うのではないでしょうか?
Webマーケティングでの【共有】時のアプローチ
Webでも同じです。営業支援ツールや顧客管理システムを活用して顧客情報を管理し、SNSやメール、LINE@などのコミュニケーションツールを通して顧客との定期的なコミュニケーションを活発化させます。
【購入・成約】後の顧客満足度を高め、一人でも多くのファン(熱狂的なファン・エバンジェリスト)を獲得することで、Web上でもクチコミを広げることができます。
まとめ
今回は、皆さんが日々行っている実際の営業時のフローに照らし合わせ、Web上で展開すべきマーケティング施策についてご説明させて頂きました。
まずは【認知を獲得】し、【興味・関心】を引きつけ、【比較・検討】時には定期的なコミュニケーションをとり、相手企業や見込み客にとって有益な情報を提供して、製品やサービスの理解を深めて頂き、【ご購入】頂いた顧客に対しても、アフターフォローを通し顧客満足度を高めることで、自社の優良顧客(ファン・エバンジェリスト)となって頂き、ポジティブな実体験を一人でも多くの新たな見込み客へ【共有】して頂く。
リアル営業でもWeb上でも考え方は全く同じです。日常皆さんが行なっている営業施策となんら変わりはないのです。テクノロジーの進化により、消費者の情報に対する接触体験が変わってしまったのでWeb(ツール)が活用されるようになってきただけです。
今後は、リアル営業とWebマーケティングがしっかりと手を組み、一連の施策が【線】で繋がり、リアルとWebが交差し混じり合うことで、【面】で捉えたマーケティング活動が求められてくるはずです。
目先のプロモーションのみに満足することなく、入口から出口までを含め、リアルとWebの壁を乗り越えた施策を展開していくことで、会社の売上は確実に上がります。